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キャンバスの階層

作成年月日
2005年11月13日 03:54

ゲームの背景を描くにあたって目指したものは「いつまで観ていても飽きない絵」この1年、慣れないカラーに手間取り、納品した次の日にはもう目を背けたくなるような気分に苛まれていたが、やっと最低ラインに届いた。

この絵は3秒、こっちは8秒と、観ていられる時間を計ってはげんなりしていたが、先々月に30秒の壁を越えて、先月納品した中の1枚がとりあえず、ファイルを閉じるボタンをクリックしないで済む物になった。

結局行き着いたのはレイヤーや選択範囲を極力作らない事。これまで作業を効率よく進めるためにマスクされたレイヤーを20も30も作って、他の部分に干渉しない様に準備してから各部を塗るという方式をとって来たが、やはりここに欠陥があった。

床を塗っていて、次に椅子を塗ろうとした時にレイヤーを選択しなければならない。任意のレイヤーをペンで選択するのは一瞬で、それこそ0コンマ何秒の動作なのだが、この一瞬の割り込みが俺の「絵を描くという作業」にはどうも致命的なようで、おそらくキャンバスからレイヤーパレットに目を移した瞬間に色々な物がこぼれ落ちるのだろう。

マスクされたレイヤーを使わないと、色んな所がはみ出して何度も上から塗り直す事になる。その作業に費やされる時間は馬鹿にならないのだが、それでもキャンバスから一瞬も目を離さずに作業を行えるメリットの方が大きいという事なのか。

これは一過性のもので、最初からきっちりと彩色されたイメージを保持出来ればレイヤー毎に塗って行く方が楽になるのかも知れないが、以前「芸能の快楽」で触れた「過程で生じるフィードバック」には「連続性」という物も含まれるのかもしれない。

どこまでも描ける、いつまでも描けるという自由さが有ると無いとでは、作業の楽しさが格段に違う。腕が痛くなるまで延々と描き続ける位でないと、頭の中の色々なアレが分泌されて来ないのだろう。