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ステルス・マーケティング

作成年月日
2005年12月24日 05:15

今日のCBSドキュメントで久々に頭が割れるようなルポを観たので(番組の内容は再放送らしい)何の下調べもしていないがとりあえずここで鬱憤を晴らそうと思う。

アメリカで今「ステルス・マーケティング」というのをやってるんだと。これは「商品の宣伝をしてると悟られない広告展開」を指すようで、番組で報じられていた手段は例えば街中で観光客を装った若いカップル(サクラ)が道往く人を掴まえて「すいません、写真をとってくれませんか」とお願いするわけだ。

で、それに応じてくれた人にカメラ付き携帯電話を渡して撮ってもらうのだが、そのカメラ付き携帯電話を相手に使って貰ってその商品に興味を持って貰おうというのがこの三文芝居の目的で、写真を撮ってもらったらお礼を言ってそのまま別れる。相手は広告された事に気付かない。こちらも売り込みのような事は一切しない。

相手の警戒網に引っ掛からずに商品を宣伝するので「ステルス・マーケティング」なんだそうだ。頭いいぜソニー・エリクソン!もし俺が写真撮影を頼まれてそれが携帯電話のセールスだったと分かったら、間違いなく膝が飛ぶぞ。(そういえばソニーは先ごろ似たようなサクラ戦略疑惑で叩かれまくっていたな。【参照:Media to the People:ブログ・キャンペーンの失敗から何を学ぶか?】

他には例えば若いおねぇちゃんがバーで隣の男にタバコの火を貸してくれるように頼む。彼女はこれ見よがしにカウンターの上に新製品のタバコの箱を置いている。相手の目の前でタバコに火を付けて貰って、話の流れによってはこのタバコを気に入ってる程度の会話を交わしたりはするが、この場合もあまり押し付けがましくしたりはせず、あくまで自然に振舞って終わる。

人の善意を食い物にして自分の商品を売り込むような戦略を、割と名のある企業が予算を割いてやっているのだ。お金があるって素晴らしい!こんな品性の欠けらも無いような事に大金を使えるなんて贅沢中の贅沢だ。

その分野で働いている方々には申し訳ないが、俺は広告業界という物に生理的な嫌悪感を持っている。しかしこれはどう考えてもやり過ぎだろう。こんな事が蔓延して人々の不信感を買ったら、将来キミたちがよぼよぼになった時に電車の中で困っていてもステルス・マーケティングと勘違いされて誰も席を譲ってくれなくなるかも知れないぞ。