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エウレカセブンの復権

作成年月日
2005年10月16日 19:20

今日交響詩篇エウレカセブンの第26話が放映された。開始当初はさすがバンダイが鳴り物入りで始めただけあって、テレビアニメとは思えないクオリティで度肝を抜いてくれたのだが、あっという間に失速し、作画クオリティを維持したまま詰まらない話を延々と続けていた。

エヴァンゲリオンの焼き直しとしか思えないような描写が繰り返し現れ、主人公が身を寄せているテロリストグループの動機の不明さやモチベーションの低さにイライラし、思わせぶりなシーンやセリフを散りばめるだけ散りばめて、それらが一向に拾われない事態に何度このアニメを切ろうと思ったか知れない。

主人公が子供なのは仕方ないとしても、その周りにいる人間(GEKKO STATEというグループ)がことごとく精神的に未成熟で、相手をなじることでしか愛情を表現できない女と、相手の話に逆切れするだけの男の痴話喧嘩を何十話も観させられた。

精神的に未成熟な人間の集まりと評されたエヴァンゲリオンの「NERV」も、この連中に較べれば取り繕ったりユーモアでかわす事を知っているだけ遙かに大人だった。それが計画された事だったとしても、観ている人間が嫌になる前に作っている方が音を上げると思って期待していたのだ。

「もうイヤだ、早くこの話を面白くしようぜ!」と脚本家の誰かが監督に直訴するだろう、と。それでも物語は全く進展を見せる事無く、逆切れリーダーと不感症ヒロインの設定の上にあぐらをかいて作画がいいだけのダメアニメ路線をひた走っていた。これが1ヶ月前、22話以前の状況である。

主人公はGEKKO STATEを飛び出して初めて「大人」に巡り会う。奇しくもこの作品で初めて登場した「大人」によって、物語の風通しは格段に良くなった。やっと鑑賞に耐えられるキャラクターが登場し、物語の構造を物語自身が語る準備が整った事に、不安を感じながらもワクワクしていた。正直に告白すると、毎週目の端に涙を浮かべて観ていたのである。

そして今回の第26話は、その期待に見事に応えてくれた。これまでの停滞した時間があったからこそ、この高揚感があるのか、単に間を繋ぐのが下手だったのかはまだ判断できないが、少なくとも「切らないでいて良かった」と思わせるくらいのご褒美ではあった。

とは言え物語はやっと半分、折り返し地点を通過したに過ぎず、この物語が抱えている爆弾は相変わらず残っているわけで、この後また低空飛行に戻ったり、上ったり、で結局最後は「なんじゃいそりゃぁ!」と暴れたくなるような物を観させられる可能性もたっぷりあるのだが、とりあえずあと半年付き合う覚悟は出来た。良くも悪くも、楽しみなアニメだ。

追記

結局この後また低空飛行に戻ったり、上ったり、で結局最後は「なんじゃいそりゃぁ!」と暴れたくなるような物を観させられる事になった。