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実物大ガンダムを観る:夏休み大作戦(4)

作成年月日
2009年07月29日 03:55

ディズニーランドで遊んだ翌日、今日は親が楽しむ日である。正確には父親の日と言うべきか。夏休みにディズニーランドに行くなんていう凡庸かつ疲労確実な計画を呑んだのは、まさにこのおまけが付くからだと言っても過言ではない。わざわざガンダムの為だけにお台場くんだりまで出掛ける気力は無いのだが、娘をディズニーランドに連れて行くついでにちょっと足を伸ばすという言い訳が立つなら、誰にも文句は言われないのである。

ゆりかもめに乗って台場駅に向かう途中、そろそろの筈だと目を窓の外に向けていると出た。木立の向こうに上半身を覗かせたそれこそ今回のメインイベント、実物大ガンダムである。丁度毎時0分のアトラクションで顔を動かしている所を見られたのはラッキーだった。

駅から降りて人の列に飲まれて歩いていくと、程なくその雄姿が視界に入ってくる。18mというのは思ったより小さいのだなぁ、と思いつつも近付いて行くとやはりその威容と実在感は圧倒的だ。頭の中で想像していた18mという体高が目の前でキチンと提示されて腑に落ちる瞬間。「あぁ、これ位の大きさなのね」というただそれだけの答え合わせなのだが、モニターやスクリーンでしか見ることの無かったロボットが1/1というスケールで目の前に姿を現す体験と言うのはやはり特別である。普通そんな事起こり得ないのだから。

質感は陸戦兵器(戦車等)の延長線上というよりも乗用車の発展形の様な感じである。程好くマットで程好く光沢がある。ミリタリー趣味からは遠いがガンダニウム合金とはこういう感じかと納得出来なくも無い。エッジは実にシャープ。面は何処までもなだらかで、複雑な曲線で構成された四肢や顔の庇など、ディテールを大幅に追加しつつもプロポーションから受ける印象は安彦良和が作画したファーストガンダムを良く再現している。先に触れた毎時0分のアトラクション以外にも毎時30分に首を振るアトラクションが(例の効果音と共に)行われ、辺りを見渡すガンダムを下から眺めているとジオン兵になった様な気分が存分に味わえる。なるほど、こいつには勝てそうもない。

この日記を書いている時点では期間限定の公開らしいが、これは是非ここに永久保存して欲しいと願わずにはいられない。ゲーム・プラモデル・グッズ・DVD・映画と、国内で一番商業的に成功したアニメ作品は間違いなくこのガンダムだろう。世界に冠たるジャパニメーションを主要産業だと煽るのであれば、これの維持費くらい国が補助してくれないだろうか。動物が喋るアニメはアメリカに譲るが、ロボットが戦うアニメは現在日本の独壇場である。そのロボットがこの完成度で、この大きさで地面に立っている国なんてここだけなのだから、世界的に見ても貴重な景観である。