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楽屋落ちの氾濫

作成年月日
2007年05月02日 05:25

今期放映開始のアニメの中で現在も視聴継続中の2作品『らき☆すた』『ハヤテのごとく!』がちょっと何というか、やり過ぎじゃ有りませんか?と小言を言いたくなるような路線をひた走っている。どちらも漫画が原作で、その作風は原作自体から継承しているのだと思われるのだが、そこを拾うだけではなく明らかにアニメ用に追加している部分も多々見受けられる。何かと言うと「パロディ」と言われる物である。

「パロディ」と言うには少し語弊があるかも知れない。本人達がどういう意識でやっているのかは分からないが的確な語彙を探すと恐らく「楽屋落ち」というのがピッタリ来るのではないだろうか。他作品のタイトルやセリフ、固有名詞を作中で披露するだけではなく、キャラクターの声を担当している声優の他の作品での仕事を知っていないと意味が分からないネタまで仕込んで来るのである。『らき☆すた』では『涼宮ハルヒの憂鬱』を観ていて、かつ平野綾がその作品で涼宮ハルヒ役をやっているという事を知っていなければ意味が通じないやり取りが行われ、『ハヤテのごとく!』では『銀魂』を観ていて、かつ釘宮理恵がその作品で神楽役をやっているという事を知っていなければ意味が通じないやり取りが行われている。

『ハヤテのごとく!』の声優ネタでも、三千院ナギ(声優:釘宮理恵)が咲夜というキャラクターに強烈な突っ込みを入れる場面で釘宮理恵が担当した他作品のキャラクターに扮しているカットが入るのだが、これはセーフだと思うのだ。それらの扮装がなんなのかを知らない視聴者でもカットの意図(強烈な突っ込み)は汲み取れるし、それらの扮装の意味が分かる人間ならさらに笑えるシーンである。しかし先に挙げた2例は、もう致命的に他作品を視聴していて、なおかつ今映っているキャラクターと他作品のあるキャラクターを担当しているのが同じ声優であるという事を理解していないと意味が通じないのである。こちらはパロディとしてアウトなんじゃないだろうか。『らき☆すた』はともかく『ハヤテのごとく!』は日曜の朝にやっているアニメである。声を聞いただけで声優の名前が出てくるような人間だけが観ているわけではない。

”うっすら”とこちら側に属している立場から見れば、この2作品はサービス満点の小ネタが満載なのだが、わざわざ作品の敷居を高くするようなプロットを観るとちょっと心配になってしまう。物凄く狭い所を狙い撃ちにするのも戦略の一つではあるが、その狭い所はもう開拓しなくてもDVDを買ってくれる層なんだから別の所を狙うべきなんじゃねぇのかと思うのだが、どうなんだろう。