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手品を成立させる為に最低限必要なこと

作成年月日
2005年08月09日 18:15

昨日放映された「創世のアクエリオン」第19話。過密なスケジュールの中、作画のクオリティ維持が難しくなるのはどの作品でも同じだが、あの手この手でそこを回避してきたこの作品でついにやってしまった。単に作画が下手になったわけではない。それなら今までも何度かあった。今回メインスタッフをつぎ込めなかったからなのだろうか、うつのみや理という名の知れたアニメーターに丸投げしてしまったようだ。

計画的にここで休みをとるためにこういう話にしたのか、それともこういう話だから彼に丸投げ出来ると踏んだのかは分からないが、この回では主人公達が童話のような異世界に飲み込まれて本人達のビジュアルまで変容してしまう。確かにこの設定ならうつのみや理の絵でやっても問題ない。わざわざ美術ボードを描き起こす手間はあるが、主役ロボットまで童話チックに描きなおす程の徹底振りはスケジュールの破綻を感じさせず、演出の意図として成立しそうに見えた。

しかし問題は、異世界の中だけでなく、その前後、本来の絵でなければいけない場面でさえ、彼の絵柄で描かれてしまっている事だ。声を聞いても尚画面に映っているのが誰だか分からない程キャラが似ていない為、異世界で主人公達が「何コレ〜!」と自分の顔に驚くシーンでも「いや、君たち今回最初っからこんなもんだったよ?」と突っ込みたくなる始末だ。

押さえるべきところを無理してでも押さえてさえいれば、「演出です」と言えたのに、こんな中途半端な嘘ならまだ下手な絵を見せた方が良かったのではないか。第14話でバンクを多用しながらも作品のターニングポイントとなるべき回を描ききった手腕を目の当たりにした後だけに、残念でならない。