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好きと嫌いの被写界深度

作成年月日
2005年05月14日 16:47

最近我が家でヘビーローテーションされている「ミッドナイト ホラー スクール」だが、これはいわゆる「pixar系」とでも言えばいいのか、ポリゴンによる3DCGアニメである。この系統はこれまで非常に苦手としていた分野で、画面の情報量が均されている為に、どこを見ればいいのか瞬時に判断出来ない事にストレスを感じていた。

もちろんそれが3Dアニメでは不可避の現象なのかと言えばそうではなく、手前のキャラクターにフォーカスを当て、後ろの背景をぼかす(被写界深度を浅くする)という事も出来るので、そうしたいクリエイターはそうするし、実際している。この辺の話は本職の人間に譲るとして、人間の方の事を考えてみる。

デフォルトでは全てのオブジェクトを均一に描画するコンピュータとは違い、多くの絵描きは自動的に画面をでこぼこにする。一生懸命描いた部分とそれほどでもない部分が生じ、画面の部分部分で情報量の差が生じる。重要なものはディテールを増やしたり、コントラストを強くしたりするし、そうでない物はディテールを減らしたり、或いは描かなかったりする。

これは絵を観る者の視線を誘導する為に意識して行われるものでもあるが、計画的に行われなくても好きなものは一生懸命描くし、嫌いなもの(面倒くさいもの)はついついサボってしまう為、結果的に主題にフォーカスされてしまうようだ。画面のすべてを正確かつ精密に描ける上で、意識して情報量を間引く事が望ましいが、その作業は案外難しく、描き始めたらごちゃごちゃして観づらくなった、という事はままある。何も描けなかった頃の方がまとまった絵が描けたなんて皮肉という他無い。

この「好き嫌いバイアス」をどうすれば数値化出来るのかは分からないが、例えばムービーの全体でそのオブジェクトが何カット登場するのかを画面の占有率も含めて計算したり、そのオブジェクトが格納されているフォルダに優先順位を設定したりして、レンダリングの時に

というようなプログラムを使って貰えれば、俺ももう少しこの手のアニメが苦手でなくなると思うんだが、どうなんだろう。